ご挨拶

　 新型コロナウイルス禍が続き、各地の美術館の多くのイベントが中止・延期されましたが、「芸術・文化はインフラ」の理念の基に、私たちは感染拡大防止策を講じつつ開館を続けて、例年とほぼ同数の方々が来館されました。以下、この間の事業報告をいたします。

１） 春季展2022の併設展(五角堂ギャラリー)は、「谷中美佳子 日本画展」。ワグ ナー夫妻の結婚記念日(4月29日)には、デュオ・阿久澤さんの記念コンサートを ここで開催。

２）秋季展2022の併設展(五角堂ギャラリー)は、「ワグナー夫妻の日々パネル 展」。祈りの間にあった絵画「夫婦」を初めてここに展示し、記念の絵はがきも作製。

３） 10月23日は庭園で朗読会を開催。朗読は沼尾ひろ子さん、フルートとピアノは高橋詩織さんで、道まであふれるお客さまをお迎えして盛会。
４） 2022年は栃木県で2回目の国体「いちご一会とちぎ国体」が開催。私たちもこの国体に協力するために、1980年の栃木国体の記念章でワグナー・ナンドールがデザインしたメダル「親子三代」の缶バッジを益子町と共同で製作し、県民の皆さまに配布し(2,000個製作)、益子町から感謝状が贈られました。関連イベントとして7月9日には宇都宮市立南図書館で、「開館11周年/ワグナー・ナンドール生誕100年記念事業『熱いバトンをつなげ〜栃の葉国体からいちご一会国体へ〜』」を共同開催し、私が「ハンガリーと日本の架け橋」というタイトルで講演。

５） 隔年の助成事業では、日本画の谷中美佳子さんに授与致しました。

６） ハンガリーでは「ワグナー・ナンドール生誕100年特別展」を4カ月間開催、オープニングセレモニーにも300人近くが来場し、期間中はコロナ禍にもかかわらず大盛況でした。これはアカデミア・フマーナ(ワグナー・ナンドール作品保全財団)との共同開催で、江原評議員と私が日本から出席。(会期は2022年10月7日から2023年2月5日)

７） 2023年2月、ワグナー夫妻の胸像がハンガリーから船便で到着し、設置場所、デザイン、台座の石の検討などを役員・スタッフ全員で話し合い決定。9月から土台の基礎工事、台座の設置などを行い、胸像が周りの風景と一体となる形で設置完了。10月15日、秋季展初日はあいにくの雨でしたが、元リストハンガリー文化センター所長のナジ・アニタさん、瀧沢久子評議員、下村徹先生と共に除幕式を実施。式後には「哲学の庭」の側で、バイオリンの打保早紀さんとマリンバの高島聡美さんによるミニコンサートが行われ、雨音とのコラボ演奏に参加の方々は大いに感動されました。

8）庭園の大改修工事は2022年にほぼ完了し、2023年には丁寧な手入れを続けて、回遊式の庭園が整いつつあり、今後も継続して整備を続けます。

9）昨今、ワグナー・ナンドールの建築にも興味のある方々が来館されて、今後は宇都宮大学と連携して数年間かけて調査・研究を実施予定。

　ちよ亡き後は、財団関係者で議論を深めて「邸宅美術館」として、幅広い方々から愛される場の提供に努めてまいる所存です。引き続きのご愛顧をお願いいたします。

令和6年6月1日
公益財団法人ワグナー・ナンドール記念財団
理事長　秋山 孝二